マイホームの購入を検討する上で、頭金の準備は頭の痛い問題の一つ。頭金の準備は住宅取得予算に直結する問題であり、毎月の返済額にも影響を及ぼします。
そこで今回は、マイホーム購入で準備すべき頭金の目安について解説します。住宅購入を検討中の方は、ぜひとも最後までお付き合い下さいませ。
頭金とは何か?手付金との違いを解説
住宅購入における頭金とは、住宅取得費用の内、現金で用意する金額のことで、支払いタイミングは契約から引き渡しまでの間となります。
住宅取得費用=頭金+住宅ローン借入額 |
分かりやすく言えば、住宅取得費用から住宅ローン借入額を差し引いた金額が頭金とであり、頭金次第で借入額を調整できることを覚えておきましょう。
手付金との違いは?
手付金は、契約成立または契約の効力に一定の法的効果を持つ金銭であり、注文住宅では契約金とも呼ばれます。支払いのタイミングは契約成立時であり、支払いのタイミングが頭金との違いと言えるでしょう。
頭金も手付金も最終的には、売買代金(工事代金)や諸費用に充当されますので、準備しておいて損になるものではありません。フルローンで住宅の購入は可能ですが、貯金なしに購入することはできないことを覚えておきましょう。
住宅ローンの頭金は住宅購入金額の10~20%が目安

住宅ローンの頭金の目安は、購入金額の10~20%が目安となります。
3,000万円の予算であれば、300~600万円程度の頭金を準備しておくと、資金計画に幅を持たせられますし、月々の返済額をある程度コントロールすることが可能です。
しかしながら、購入金額の10~20%のお金を準備することは簡単なことではありません。
一般にどれくらいの頭金を準備しているかを、2020年度フラット35利用者調査を用いて見ていきます。
住宅ローン頭金の平均金額は?
頭金 | 所要資金に占める割合 | 返済負担率 | |
全体 | 404万円 | 10.9% | 22.2% |
注文住宅 | 619万円 | 17.5% | 20.8% |
土地付き注文住宅 | 440万円 | 10% | 24.1% |
建売住宅 | 247万円 | 7% | 23.1% |
マンション | 758万円 | 16.6% | 21.7% |
中古戸建て | 198万円 | 7.9% | 19.7% |
中古マンション | 343万円 | 11.5% | 19.6% |
住宅ローン頭金の平均金額は404万円であり、所要資金に占める割合は10.9%ととなり、建物種別ごとに差はあるものの、概ね目安通りの結果となっています。
購入金額や借入額次第ではありますが、返済負担率を下げるためにも、頭金の準備はしておくに越したことはありません。
早い段階で家計の見直しを行い、収支のバランスを考えながら住宅費用として頭金を準備しておきましょう。購入後は、その分を返済や維持費に充てることで、生活のイメージを作れますのでおすすめです。
頭金の金額を決める際に注意すべきポイント
頭金の金額を決める際に注意すべきポイントをまとめています。念願のマイホームを手に入れたとしても、返済に追われる状況では快適な暮らしとは言えません。頭金の金額は、資金計画に大きな影響を及ぼすことに注意が必要です。
- 追加費用に対応できるように余裕を持っておく
- 生活防衛資金を手元に残しておく
- 家計を把握しておく
順番に解説します。
追加費用に対応できるように余裕を持っておく
頭金の金額を決める際は、追加費用に対応できるように余裕を持っておくことが重要です。
住宅購入予算を決めていたとしても、突発的な出費やこだわりにより予算をオーバーする場面も少なくありません。予算は守るべきものですが、どうにもならないこともあります。
そんな時は、住宅ローンの借入額を増やすのではなく、頭金でカバーできるように資金計画に余裕を持たせておきましょう。
ハウスメーカーに勧められるがままに予算が増えるケースでも、頭金の範囲という枠が決めていれば、自制をかけられるはずです。
生活防衛資金を手元に残しておく
借入額を減らすためとは言え、手元資金をすべて頭金に充ててはいけません。生活防衛資金として、最低6ヶ月程度は生活できるお金を残しておきましょう。
出産や子供の進学などライフイベントに合わせて、いくら残しておくかを家族で相談して下さい。住宅ローンの返済が始まると、これまで通り貯金していくことは簡単ではありません。
月々の返済以外にも、住宅の維持費はかかりますし、メンテナンス費用は積み立てておかなければ、後々困ることになりかねません。手元にお金があっても、将来の費用として使えないケースもあります。
家計を把握しておく
自分たちの家計の状況を把握しておくことも、重要なポイントです。月々の返済が無理のない様に、頭金で住宅ローン借入額を調整しましょう。
万が一、返済が滞るような状況になれば、最悪住む場所を失いかねません。収入を増やすことは簡単ではありませんが、家計の見直しで支出の削減は対応可能です。
通信費や車の維持費など、無駄を省ける部分は少なからず存在します。自分たちにとって、本当に必要なものかどうかを考えてみましょう。
頭金ゼロで住宅を購入する注意点

長く低金利が続いており、フルローンでの住宅購入も珍しい話ではありません。若いうちにマイホームが欲しいと考える方も多くいらっしゃるでしょう。
しかし、頭金なしのフルローンは注意すべき点が多いのも事実です。
- 支払利息が増える
- 金利の優遇を受けられない
- 金利上昇のリスクがある
順番に解説します。
支払利息が増える
一つ目の注意点は、支配利息が増えることです。購入金額次第ではありますが、頭金ありの場合と比較して、住宅ローン借入額が増えるため、支払利息が負担が大きくなります。
一般に住宅ローンは長期間の借入を想定しており、借入額次第で総返済額に占める利息の割合は大きく変わることに注意が必要です。
金利の優遇を受けられない
金利の優遇を受けられないことも注意点の一つです。金融機関によっては、融資率によって金利の優遇が受けられますので、フルローンは金利において不利な面があります。
フラット35の金利の範囲を見ると、融資率9割以下で年1.440%~年2.540%、融資率9割超で年1.700%~年2.800%と大きな差が見られます。
支払利息の負担を考えると、頭金を準備しておくことが望ましいといえるでしょう。
金利上昇のリスクがある
金利上昇のリスクにも注意が必要です。変動金利で頭金なしの返済プランを組んだ場合、借入額次第ではありますが、金利の上昇により家計がパンクして返済が滞る可能性があります。
固定金利であれば問題ありませんが、固定金利と変動金利の差は大きく、変動金利を選ぶ方も多いでしょう。金利上昇のリスクをどの程度許容するかは人それぞれですが、世界的な金利上昇の流れの中で、日本だけ低金利が続く保証はありません。
そういう意味では、金利が低い内に固定金利での購入を決断することも一つの方法と言えるでしょう。
住宅ローンの頭金によくある質問Q&A
住宅ローンの頭金に関するよくある質問をまとめています。家計の状況は人それぞれ状況が異なるものの、他の方の疑問点を自分に置き換えて考えてみましょう。
- 他に借金があると住宅ローンの借入に影響がある?
- 住宅ローンの返済期間は長い方がいい?
- 頭金なしでの住宅購入は危険?
順番にお答えします。
他に借金があると住宅ローンの借入に影響がある?
他に借金があっても、住宅ローンの借入は可能です。ただし、返済負担率の計算には住宅ローン以外の借入も含まれますので、実質的に借入可能額が少なくなります。
また、カーローンや奨学金などは問題ありませんが、消費者金融などの借入については、住宅ローン審査に不利になる可能性があることに注意が必要です。
住宅ローンの返済期間は長い方がいい?
支払利息の負担は増えるものの、返済期間を長く設定して、月々の返済額を抑える方が良いでしょう。年収が増え生活にゆとりが生まれたら、繰り上げ返済を検討しましょう。
繰り上げ返済は、毎月の返済額とは別にまとまった額を返済する方法であり、返済はすべて元本に充てられるため、その分の支払利息が消えて総返済額が圧縮されます。
反対に年収が減る可能性もありますので、借入期間は長めに設定しておきましょう。
頭金なしでの住宅購入は危険?
頭金なしでの住宅購入が危険かどうかは、返済プラン次第となります。頭金が無い状況では、手元資金も少ないことが想定されますので、月々の返済額も無理のない金額でなければなりません。
その分、購入予算も限られてしまいますが、工夫次第で自分たちの理想の住まいを実現することは可能です。予算をかけること=理想の家づくりではありませんので、年収に応じた借入額を決めて、その予算の中で優先順位をつけていきましょう。
まとめ:頭金の準備は大事なので早めの準備を
ここまで、住宅購入のにおける頭金の目安について解説してきました。
多くの方が頭金を準備していることからも、頭金の重要性が分かります。頭金の有無によって、資金計画の立て方は変わってきますし、購入可能な物件の幅も広がることを覚えておきましょう。
もちろん、頭金が無いからと言ってマイホーム購入をあきらめる必要はありません。頭金を貯めるために、賃貸で暮らすことが正解かどうかは、状況によって異なります。金利の動向を踏まえつつ、若いうちにフルローンでマイホームを手に入れることは悪い選択肢ではありません。
頭金は準備段取りが重要です。マイホーム購入を真剣に考える前から、家計を見直しお金を貯めておきましょう。
円安ドル高が進み、日本の低金利もいつまで続くか分からない状況であるので、資産としてマイホーム購入を検討するのに良いタイミングかもしれません。